クラインフェルター症候群(47,XXY)は男性で最も多い性染色体異数性である。 このため、その分子機構を解明するために実験動物モデルを確立することが重要である。 そこで、野生型雄マウスと雄の胚性幹細胞を持つキメラ雌マウスを交配し、41,XXYの核型を持つマウスを作製した。 本研究の目的は、成体XXYマウスの精巣表現型を明らかにすることと、幼体XXYマウスにおける生殖細胞の消失の生合成を検討することであった。 最初の実験では、4匹の成体XXYマウスと4匹の同腹のコントロール(40,XY)の精巣表現型が研究された。 XXYマウスはサザンハイブリダイゼーションまたは核型分析によって同定され、さらに蛍光in situハイブリダイゼーションによって確認された。 その結果、XXYマウス成体の精巣重量(0.02±0.01g)は対照群(0.11±0.01g)と比較して劇的に減少していた。 血漿中テストステロン濃度には有意差は認められなかったが、血漿中LHおよびFSHの平均値は、成体XXYマウスにおいてコントロールと比較して上昇していた。 成体XXYマウスの精巣組織では、上皮内空胞化の程度の差はあれ、小さな精細管が認められ、生殖細胞は完全に欠如していた。 間質にはライディッヒ細胞の肥大と過形成が観察された。 電子顕微鏡で見ると、セルトリ細胞は乏しい細胞質と不規則な核を含み、顕著な核小体を有していた。 セルトリ細胞間の接合領域は正常であった。 いくつかの尿細管では、明らかに変性しているセルトリ細胞の巣が見つかった。 第二の実験では、XXYの幼若マウスとその同腹のコントロールにおける生殖細胞の喪失の生年月日が研究された。 XXYの幼若マウスでは精原細胞が発見され、形態学的に正常であるように見えた。 生殖細胞の進行性喪失は生後10日以内に起こった。 その結果、成体のXXYマウスでは生殖細胞が消失していた。 生後早期に起こる生殖細胞の進行性喪失は、成体XXYマウスにおいて生殖細胞の完全な欠如をもたらすと結論した。 このXXYマウスは、ヒトのXXY症候群であるクラインフェルター症候群の実験モデルとなっている。