Left-sided diverticulosis coliは欧米の社会でよく見られる疾患で、60歳以上の成人の30〜50%が罹っていると言われている。 主にS状結腸を侵す。 憩室(仮性憩室)は粘膜筋層で囲まれ,薄い粘膜下層に覆われた粘膜のポケットで,固有筋層の弱点から押し出され,先端は大腸下腺に至る。 筋被膜の弱点は、大腸粘膜の栄養血管の進入部位である。 憩室症は、低繊維食の人が便を出すときに大腸内圧が上昇することが原因である。 筋肥大、腸管の短縮、粘膜の冗長性による粘膜ヒダの肥厚がこの疾患の特徴である。 憩室症の合併症として、出血、憩室炎、憩室周囲膿瘍、穿孔、狭窄、瘻孔形成などがある。 しかし、ほとんどの憩室症患者は合併症を認めず、無症状である。 合併症のない憩室症における粘膜変化には、リンパ球浸潤の増加、リンパ管複合体の形成、ムチンの枯渇、軽度の陰窩炎、構造の歪み、パネス細胞上皮化、潰瘍化などがある。 S状結腸の残りの部分の粘膜(すなわち非憩室粘膜)は通常正常であるが、約1%の症例で潰瘍性大腸炎やクローン病と区別できない特徴を示す(憩室病変を伴う分節性大腸炎、SCAD)。 SCADの患者は憩室病に対する内科的・外科的治療に反応するが、潰瘍性大腸炎やクローン病の患者はやがて別の症状を呈し、異なる治療を必要とするため、このような症例は診断上困難な課題となる。 SCADでは粘膜の変化は憩室領域に限られるため、憩室の影響を受けない直腸やより近位の腸の組織学的評価が鑑別診断に有用となる。