T細胞応答の制御

免疫系のT細胞分枝は事実上無限の種類の外来抗原に応答できるため、自己抗原認識や危険な自己免疫反応の可能性を含んでいる。 そのため、胸腺内での発生過程と出生後の末梢での発生過程の両方において、制御機構が働いている。 自己反応性T細胞の制御は、プロミスキャスな遺伝子発現によって胸腺レベルで発現する自己ペプチドに高い親和性を示すT細胞のアポトーシスをもたらす負の選択過程によって行われる。 負の選択から逃れた自己反応性T細胞は、他の制御機構によって末梢で制御されるが、最も重要なのは天然のFoxp3+ T制御(Treg)細胞である。 また、外来抗原に対する過剰なエフェクターT細胞応答が生体にとって危険となった場合にも、その制御が必要である。 エフェクターT細胞には3つのタイプがあることが知られている。 Tヘルパー1(Th1)細胞は細胞内細菌を防御する。Th2細胞は線虫を防御する役割を持つが、アレルギー反応を引き起こす。Th17細胞は細胞外細菌を防御する効果があると考えられるが、自己免疫疾患を増幅させる役割も持つ。 異常な、あるいは過剰なThエフェクター反応は、様々なメカニズムによって制御されている。 Th1あるいはTh2が支配する反応の方向転換あるいは免疫逸脱は、同じ細胞型によって産生されるサイトカインやCXCR3結合ケモカインCXCL4およびCXCL10によって提供される。 さらに、Th1およびTh2反応は、接触依存的なメカニズムおよび/またはIL-10やトランスフォーミング増殖因子-β(TGF-β)の産生を介して適応型Treg細胞によって抑制されることが可能である。 最後に、TGF-β1はTh17エフェクター細胞と適応型Treg細胞の両方の発生を促進し、同時に産生されるIL-6はTh17細胞の発生に寄与するが、Treg細胞の発生は抑制される。 また、Th17細胞の発生は、Th2細胞が産生するIL-4やTh1細胞が産生するIFN-γによってダウンレギュレートされる。