背景: 乳児がおむつ皮膚炎になった場合、2種類の抗真菌性ペーストが有効であることが示された。 おむつ皮膚炎(diaper dermatitis:DD)は乳幼児期に最もよくみられる刺激性皮膚炎である。 カンジダ菌の重感染を合併することが多い。
目的 2種類の抗真菌剤(イマゾール=1%クロトリマゾール,マルチリンド=10万IUナイスタチン/g+20%酸化亜鉛)のDD患児における有効性と安全性を比較検討した。
Methods: この多施設共同無作為化評価盲検第IV相試験には、合計96人の乳児が参加し、クロトリマゾール(n = 45)またはナイスタチン(n = 46)を含むペーストを1日2回、14日間投与された。 評価対象となったのは,91名のDD患児(年齢12.1±5.3ヵ月,女性48名)であった. 主要評価項目は,7日後の症状スコア(TSS7)であった. 副次評価項目は,14日後のTSS(TSS14),臨床的および微生物学的治癒率,臨床効果のグローバル評価(GA)であった。
結果 TSSは両ペーストで著明に改善した。 症状スコアの減少は,クロトリマゾールでは4.5±2.1(7日目),6.1±1.9(14日目),ナイスタチンでは4.2±2.3,5.4±2.4(P<9485>0.0001)であった。 TSS14については,クロトリマゾールがナイスタチンより優れていた(P=0.0434). 臨床的治癒率は,クロトリマゾールが28.6%,ナイスタチンが46.9%であり,クロトリマゾールの方が高かった. GA値はクロトリマゾール投与児26例(55.3%)で非常に良好であった(ナイスタチン:16例,P = 0.0257). 有害事象の発生頻度は両投与群とも同程度であった。
結論 クロトリマゾールはナイスタチンに比べ,症状スコアおよびGA値の低下に関して優れていた。 微生物学的治癒率は両薬剤とも100%であった。 両剤とも安全で忍容性の高い治療法であった。