著者各位 すべての医師にとって、特に出血リスクの高い高齢患者を扱う際に課題となる抗凝固・抗血小板併用療法の問題についてまとめた素晴らしい記事をありがとうございました。 しかし、この論文にあるValvular AFの定義は、最新のものでも、正しいものでもありません。
現在、欧州心臓病学会のガイドライン(参考文献1)によると、この文脈での「Valvular AF」という言葉は、中程度から重度の僧帽弁狭窄症や人工心臓弁(北米ガイドラインでは弁修復)を持つ患者のみを指し、ビタミンK拮抗薬を投与すべきものとされています。 軽度の僧帽弁狭窄症、僧帽弁閉鎖不全症、大動脈弁狭窄症(AS)、大動脈弁閉鎖不全症などの心臓弁膜症は、左房の低流量状態をもたらすことはなく、心房細動がもたらす血栓塞栓症のリスクを高めることはないようである。 ポストホック解析によると、これらの条件は、ほとんどの「非弁膜症」心房細動と比較して、非ビタミンK経口抗凝固薬(NOACs)に対する血栓塞栓リスクの反応性を低下させない可能性がある。 したがって、「非弁膜症性心房細動」は、ある種の心臓弁膜症患者をNOACによる治療の対象から除外するものではない。 ROCKET AF、AVERROES、ARISTOTLE、ENGAGE AF Trialsでは、僧帽弁狭窄症以外の心臓弁膜症(ほとんどが中・重症)と人工心臓弁を含めることが認められています。 これらの試験の結果、含まれる弁膜症において、それぞれのNOACがワルファリンより劣っていることを示唆するものはなかった。 多くの病院勤務医や開業医の間で、「非弁膜症」と「弁膜症性心房細動」がまだ明確でないことには同意するが、この論文は彼らの混乱を助長し、本来処方すべきでない弁膜症症例にワルファリンを処方するような影響を与える可能性がある
Reference 1.
非弁膜症性心房細動患者における非ビタミンK拮抗抗凝固薬の使用に関する欧州心臓リズム協会実践ガイドの更新
Hein Heidbuchel Peter Verhamme Marco Alings Matthias Antz Hans-Christoph Diener Werner Hacke Jonas Oldgren Peter Sinnaeve A. John Camm Paulus Kirchhof …
EP Europace, Volume 17, Issue 10, 1 October 2015, Pages 1467-1507, https://doi.org/10.1093/europace/euv309